Steady
「彩加ちゃんのこと、

 もっと知りたいな」


唐突に呟いた優の言葉に、

私の鼓動は

おさまるどころか

激しさを増していく。


「私のことって……、

 別にそんな……。

 優くんの周りには

 もっと可愛い子だっているし」


そうだ。


私たちが履修している

川岸ゼミのメンバーにだって、

それこそ女子大生らしい

可愛い女の子たちがいる。


優にはそういった子たちの方が

似合っているのに。


私なんて、

大したお洒落もしない、

地味な苦学生のような

身なりなのに。


しかし、優は

私を真っ直ぐに見ながら

首を大きく横に振った。






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