Steady
「“俺らしくない”?」


優の言葉に

私はこくりと頷く。


私の目の前にいるのは

優のはずなのに、

まるで敦のような言葉。


本当に2人は

赤の他人なのだろうか。


そのまま口を固く閉じた私に、

今度は優が口を開く。


「そうっか。

 “俺らしくない”か……。

 助けてあげるどころか、

 もっと困らせちゃった

 みたいだね、俺」


ハハッと乾いた笑いを

したかと思うと、

優はすっと席を立った。


「優、くん……?」


「今はこれ以上、

 彩加ちゃんの側にいたらダメだな、

 俺は……。

 あとで、メールするね。

 じゃ、また今度」


そう言うと優は、

伝票をひらりとさせながら

微かに微笑んで店を後にした。





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