Steady
「……もしもし」


「ちょっとアヤ。

 今、どこにいるのよ。

 私10分くらい待ってるんだけど」


電話の向こう側で

澪の激しい声が飛んでくる。


目の前にあるアイスコーヒーに

浮かんでいたはずの氷が解けて、

コーヒーの上に

透明な層を作っている。


ふと店内の時計に目をやると、

澪と約束していた時間から

20分ほど過ぎていた。


「あ、ゴメン。

 すぐそっちに行くから待ってて」


無造作に置いていた

バッグを手に持つと、

私は足早に店を出る。








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