Steady
電車に揺られて

たった数分ほどの距離なのに、

いつもの見慣れた駅とは

全く違った姿を

この駅は見せていた。


この辺りの住民しか

使わないのではと思うほど、

ひっそりとしていて静かだ。


私たちは駅を出た

向かいにあるカフェに入った。


それぞれコーヒーを手にして、

店内の奥にあるテーブル席へと座る。


ふうっと息を吐いたかと思うと、

澪が真っ直ぐに私を見て

口を開いた。


「で、どうしたの?

 アヤがあんなメール

 送ってくるなんて珍しいし」


澪の言う通り、

私はどんなに辛いことがあっても、

親友である澪にも家族にも

それらをぶつけたことはない。


自分の中で

どうにか解決しようとして、

それがどんどん心の壁を

厚くしていく。





< 274 / 342 >

この作品をシェア

pagetop