Steady
「それと、ね」


その言葉に

澪が少し首を傾げる。


私は小さく息を吐くと

言葉を続けた。


「実は大学に

 私と同じゼミを履修している人で、

 敦とよく似た人がいるの」


「越智くんと似てる人?

 それがどうかしたの?」


「彼、優くんっていうんだけど。

 優くんは敦と外見がそっくり、

 というか瓜二つで。

 でも性格は正反対で、

 優くんがあの頃の

 敦のように感じるの」


澪はコーヒーを飲むと、

ゆっくり身体を前へ傾けて

私へにじり寄る。


そして視線を私へ合わせると

静かに話し出した。





< 277 / 342 >

この作品をシェア

pagetop