Steady
「でも、ね。

 ゼミで優くんと出逢って

 あの頃の気持ちが蘇ってきた。

 敦と人違いして

 声を掛けた優くんの

 温かさが心地よかった。

 ふんわりと包み込んでくれる

 その優しさに、

 私の心はすっかり安心して

 ……惹かれていった」


最悪な出逢いだったはずの優は、

そんな私にいつも甘い

笑顔を見せてくれた。


それは私がずっと

探していたそのものだった。


とっつきにくいであろう私に、

優はいつも優しい手を

差し伸べてくれた。


それに心時めいたのは、

紛れもない事実だ。


私の言葉に

優はマシュマロの様な

ふわりとした笑みを見せた。


敦は硬い表情のまま

唇をきゅっと噛みしみめ

視線を落としていた。





< 318 / 342 >

この作品をシェア

pagetop