Steady
メイクも普段全くしないので、

どうしたらいいのか分からない。


机に向かって座ると

鏡を正面に置き、

傍らに雑誌を広げて

メイク道具と格闘し始める。


洋服がパステルだから

メイクもパステルピンクに

まとめてみたい。


使い慣れていないせいか、

なかなかアイメイクも

納得いく仕上がりにならない。


鏡に向かい始めて

どれ位経ったのだろうか。


ようやく納得できるまで

仕上がった時には、

全身の力がどっと抜けた。


毎日毎朝、

こんな大変なことを

していたのかと思うと、

世の中の女の子達を

尊敬してしまう。


慣れるまで私には

かなり時間が掛かりそうだ。


ふと時計に目をやる。


「やば! 遅刻しちゃう!」


小さめのカゴバッグを手にすると、

私は急いで家を飛び出した。


約束した場所へ。






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