Steady
私の顔を見て敦もまた

ふわりと微笑み返す。


「そういえば、あいつ遅いな」


「そうだね」


駅の時計はもうとっくに

10時を10分過ぎている。


今日のこのデートは

私と敦とあともう1人、

揃わないとスタートできない。


私たちにとって

大切なもう1人を。


すると待ち焦がれていた

その1人が、改札口を

するりと抜けて走ってきた。


「ご、ごめん。遅れちゃって」


「遅ぇよ、優!

 お前が遅刻すんなんて

 思わなかったぜ」


敦の憎まれ口も気にする様子なく、

優はマシュマロの様な

柔らかい笑顔を見せた。





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