御曹司なんてお断りっ◆

慌てふためく俺を隣で
武は冷笑した。


「バカ野郎。
 起こすなら、もう少し早く起こせよ!」

あわてて、シャワーへと向かう。




「そうはいいましても、
 良識ある大人なら、ご自分で起きれるかと思いましたので。」



「はいはい。
 良識のない大人ですいませんね。」


通常、武はいつも8時に迎えに来る。

俺が来ないときは、
部屋に上がってきて起こしたり
電話したりするのだがーーー


でも、
昨日出張から帰ってきたばかりだから、

ぎりぎりの9時過ぎまで寝かしてくれたんだという
武なりの優しさだろう。





一応、俺だって気が付いている。


だから、照れ隠しに言っておこう。



「武…そんなに、


 俺の寝顔を眺めたかったのか?」


「!!昴様っ!!!」




さっさと準備をしてくださいという声を遮って、
シャワールームのドアを
勢いよくしめた。




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