御曹司なんてお断りっ◆
「いらっしゃいませ。」
俺が、裏からコーヒー豆を持ってきたと同時に
ドアが開いた。
軽く会釈をしながら入ってきたのは
志保だった。
思わず、胸が高鳴る。
久しぶりに見る志保の姿。
相変わらず
黒縁のメガネに
髪を後ろで一つに束ねている仕事スタイル。
メガネも、髪もおろせばいいのに。
折角、綺麗な瞳をしているのに・・・
「こんにちわ。久しぶりだね。志保。」
大丈夫か?声上ずってないか?
なぜだか軽く緊張する。
志保はそんな俺に、
にっこりと笑いかけた。
「お帰りなさい。お久しぶりですね。」
はにかむような笑顔に心が
また高鳴る。
「電話、途中で切れてしまってごめんなさい。
上司と一緒だったので…」
なんだ、
仕事中だったのか?