御曹司なんてお断りっ◆
駐車場にて。
***
「はぁ」
取り合えず
俺は志保の会社の前まで来た。
少し急いだせいで
息が上がる。
乱れた息を整えるように、
歩道の横のガードレールにもたれかかる。
「はぁ。タクシーでこりゃよかった。」
ちらりと腕時計に目をやる。
時間は18:35
志保からの連絡はない。
なんか、
冷静になると、
女からの連絡をこんな必死になって
待ってるって
俺、軽く…女々しくない?
っていうか、
連絡するっていうから
わざわざ会社の前までくる必要あったのかーー?
わざわざくるって
ストーカーみたいじゃね?
そこまで思って自分でへこむ。
まぁ、
こんな初々しい気持ちもあったのか。
「うーん。
なんか、逆に恥ずかしいな。」
思わずつぶやいて再び鳴らない携帯電話を見つめた。