御曹司なんてお断りっ◆
でも、
断ったって嬉しいけど・・・
「どうして断ったのか聞いてもいいか?」
「え?んんーー。
素敵な人で、
私に好意を持っていただいてるのは嬉しかったんですが
それだけでしたので。」
「え?」
嬉しかったら良いんじゃないの?
少し眉をひそめる。
いやいや、課長が良いっていわれても俺は困るけど。
「ですから…親や兄に『好きだよ』といわれても、
嬉しいって思うでしょ?
そういうことです。上司以上には見えなかったので。」
顔を少し傾けて困ったように微笑した。
「気も無いのに
何度も食事をするのは相手に失礼かと思ったので
お断りしました。」
あっさり厳しいことを言ってのける。
志保らしいな、と俺は思わず笑ってしまう。
「じゃぁ、空いた時間、俺とデートしてくれませんか?」
俺は、少し身をかがめて、
右手をそっと志保の前に差し出す。
「はい。
堅苦しくないところでしたら。」
志保はそっと手を合わせた。
「・・・・・・志保。
じゃぁ、
俺は少しは期待して良いってこと?」
にんまり笑う。
気も無いのに志保は食事に何度も行かないんだろ?