御曹司なんてお断りっ◆

「…昴さん。
 どうぞ、仕事へ戻ってください。」

志保は、
はぁっとため息をつきながら手をひらりと払った。

想像通りの反応で
ちょっと笑ってしまう。

でも、そういう訳にはいかない。

だって、今回は俺からじゃなくて、
「市川から」やると言ってきた案件だ。

ソレを水を差すなんて、男として、上司として
ダメだろ?



「言うと思った。
 でも、俺は商談より君に会いたくてここに来たんだ。

 志保はーー会いたくなかった?」

「え?
 ・・・・そんな言い方卑怯です。」

志保は顔をそむけた。
ほんのり赤くなる頬が
かわいい。


「俺は志保に会いたかったよ。

 会社のため、家のため『花京院昴』として
 普段はがんばっているけど、

 そんなこと、忘れてでも志保に会いたかった。」

志保はゆっくり俺のほうに向き直り
じっと俺の目を見つめた。

やっぱり
志保は瞳が綺麗なんだな。



「でも、あなたは
 花京院 昴でしょう?」

志保の顔が曇った。



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