御曹司なんてお断りっ◆

「・・・そうだね。
 この商談も『花京院昴』だから指名されたんだと思う。
 俺だからじゃないよ。

 『花京院』だからだよ。」


俺は家には縛られたくないと思いながらも
家のために

なんて思っている自分もいて
やりきれない思いを吐き出した。

「昴さん…」

志保はゆっくり近づいてきた。

なんだ?

と思った瞬間。

ぱちっ。


志保の右手が俺の左ほほを
軽くたたいた。


「なっ・・・」

「私は逃げませんし、お食事もご一緒します。
 しかし、やはりあなたは花京院昴でしょう?

 会社や家のためじゃなく、自分のためにしっかり仕事をこなすべきでは?
 
 女ひとつにかまってて、
 商談がひとつ駄目にーーー

 どれだけの社員に迷惑がかかると思っているんですか?
 
 大体、そういうのワガママって言うんですよ?」

志保は冷ややかに俺を見つめた。

俺は衝撃で呆然と志保を見つめた。


「----ぷっ」

あははは。

あまりにも志保が言いたいことをストレートに言うもんだから、
笑いがこみ上げてきた。


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