御曹司なんてお断りっ◆

「あーーっ。ごめんね。志保。
 
 そうだなぁ。
 単なる俺のワガママだったな。

 武が珍しく融通利かせるもんだから甘えてた。

 優秀な秘書が珍しく弱気に20%って言ってきた商談を
 俺、さっさと終わらせてくるよ。

 こう見えても俺、出来る男だぜ?」


志保にむかってにっこりと笑う。
志保も俺に向かって
やさしく微笑んだ。


「はい。---では、優秀な昴さん。
 早く商談まとめてくださいね。」

志保は軽く手を振ると
くるりと駅のほうへ歩き出そうとした。

思わず手を
捕まえる。

「まっ…って。」

志保はすこしおどろいて 俺を見つめる。

「志保。後で電話するからーーー」

「一時間。」

「え?」

「あなたは、優秀な御曹司の『花京院昴』でしょう?

 一時間だけ電話を待ちますね。」

ふふふと
志保は冗談交じりに笑った。

「ふふ。あんまり遅い食事だと、
 胃もたれしちゃうし。

 明日も、時間を空けておきますので、

 私に気にせず、お仕事なさってくださいね?」





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