御曹司なんてお断りっ◆
俺は一応脱いだスーツをメイクルームの椅子に掛けてから
常務室へと戻る。
武はいつものように、
パソコンを2台立ち上げて
仕事モードだ。
「あー。武。
俺が早く来たんだから、通常通りの勤務開始でいいよ?」
時計に目をやると、
8時前だった。
俺の通常の出勤時間は9時過ぎ。
こんなに朝早くから
いるなんて珍しいぐらいだ。
「--いえ。
私の今日の業務は詰まっていますので
この時間から始めないと、今日中には終わりそうにもないので。」
武は淡々と告げて、
ついでに、と言って昴に書類を渡した。
「…フラれましたか?」
武は、ニヤリと笑って俺に問いかける。
「…うるせーー。
悪いか?」
それだけつぶやくとさっさと自分の机に向かう。