御曹司なんてお断りっ◆
それぞれの朝。
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「俺、お前の事初めて尊敬したかもーーー」
いつもの喫茶店。
思わず、正樹兄ぃに話してしまった俺は
ちょっと後悔した。
「はー。うるせー。
話さなければよかった。」
「なんで?」
正樹兄ぃは楽しそうに笑ってコーヒーを差し出してくれた。
いつものカウンターのはずなのになぜだか居心地が悪い。
「だって、好きな子を押し倒したのに
何もせず
なおかつ、きちんと寝かしてホテルを後にしたんだろ?
童貞じゃあるまいし、
よく理性持ったなー。本当に尊敬するよ。」
「何それ?バカにしてるのか?」
「違うよ。昴の志保ちゃんに対する愛を感じただけ。」
正樹兄ぃが、また楽しそうに笑って
俺に話しかけるものだから、
やっぱりバカにしてるんじゃないかと思って
眉間にしわを寄せる。