御曹司なんてお断りっ◆


祖父はよく
私に言い聞かせた。

「家の為になるところに嫁ぎなさい」

幼い私は意味も解らず、
ただただ厳しい祖父が怖かった。


「もぅ。お父さまったら!
 こんな小さい子に何教え込んでるんですか?!」
「うるさいっ!」
「志保は自由に好きにさせていいじゃないですか!」

今思えば、
幼いころから、あまり祖父と母の折り合いは悪かったように思う。
母の口癖は、「あなたの思うようにやりなさい」だった。


はじめて好きになった
幼稚園の なつきくんは笑顔の素敵な
男の子だった。





「うーん。
 ぼくね、18になったら一番価値のある人と
 結婚するんだって。
 だから志保ちゃんとは無理だよ~」

「そっ・・そうなんだぁ」

よく意味が解らなかったけど、
私じゃダメなんだと思った。




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