御曹司なんてお断りっ◆
水曜日。
「いらっしゃーい」
まさかの遭遇!!!
昨日のナンパ男!と思わず心の声を口に出す。
だって。
思わずーーー口から出たんだもの。
まぁ・・・多少失礼だったなぁ。
ポーチを届けてくれたのに。
と、少しの罪悪感を覚えたものだから
目の前に座るのは拒否しなかった。
相変わらずほめるのが上手なんだな。このナンパ男。
すごいなぁ。
花京院って名門財閥のお坊ちゃんだから
女性の扱いも慣れているんだろうな。
っていうか、ホントに花京院かも怪しいけど。
なんてことを思いながら、
眺めてみる。
うーん。まぁ・・・
イケメンだと思う。
明るい色のふわりとした髪の毛に
バランスの取れた体つき。
大きな瞳に長いまつげ。
あれ?瞳は淡いグレー?
ハーフかな?
ともかく、これだけ美形で
口もうまいんだから
きっと女の子に不自由はしてないだろうに、
なぜ私に構ってくるのかしら・・・。
うーん。謎。
「すいませんね。甥っ子が」
いつもの感じのいい店員さんがコーヒーを差し出す。
へぇ。甥っ子?
この人、ホントに花京院のお坊ちゃんなのかな?
変な人。
ちょっと冷たく仕事行けば良いのにといったら
本当に行ってしまった。
押しが強いのか、
あっさりなのか。
ホントに変な人。