御曹司なんてお断りっ◆
変なナンパ男が立ち去った後、
私はゆっくりコーヒーをいただいた。
はぁ。
ようやく「休憩」って感じ。
「本当にごめんね。迷惑だったら俺から昴に
言っておきますけど…」
お会計をしながら店員さんは優しく微笑んでくれた。
「いえ…あの・・・」
ちょっと迷ったけど一応聞いてみよう。
「店員さんも、花京院さんなんですか?」
「んー?花京院??
あはは。違うよ。」
店員さんはおかしそうにくすくす笑った。
「ごめんごめん。
そうですよね~。
あいつ、お坊ちゃんには見えないよな」
私が考えていることがわかったらしい。
花京院 って言ってるけど
ただのナンパの口実かもーーーみたいな。
「俺は川端 正樹っていうんだよ。
昴の、母方の親戚。
昴は花京院家の三男。
末弟として責任のあるポジションにいるよ」
川端さんはおつりを返しながら教えてくれた。
どうやら本当らしい。
本当なんだ。
本当だったら、花京院財閥ーー大丈夫かしら。
あんなに軽そうな人が『後継者』で。
「川端さん。ありがとうございました。
あの、迷惑ですが、
きちんとポーチのお礼もしたいのでーーーー」
「はい。わかりました。
ちなみに、正樹でいいよ。」
にっこりやさしい笑顔で見つめられた。
あぁ。確実に血がつながっている。
そんなことを痛感させられた。