御曹司なんてお断りっ◆

木曜日。


「いらっしゃーい」

・・・・・

昨日と同じパターンで迎えられた。



ナンパ男は私のどこが気に入ったんだろう。
冷たくあしらっても食いついてくる。


私はいつものようにテーブルにつくと、
そのナンパ男もいっしょに座る。



「ねぇ。今夜ご飯食べにいこうよ!」
「…一人でいけば良いんじゃないでしょうか?」


「ひどっ。俺、君と行きたいのに…ね。名前教えて。」
「…なぜあなたに教えないと…」


「だから~昴って呼んでよ」
「めんどくさい男。はぁ」



小さくため息をついたら
それがおかしかったらしく、
あはは。と笑われた。

屈託の無い笑顔。
きっと女性にももてるだろうなぁ。



私の相手なんてしないで、
ほかの子を引っ掛ければ良いのに。




でも、
そういえばポーチのお礼ってちゃんと言ったっけ?

うーん。一応…

届けてはくれたしなぁ。




「あのっ・・・・・」
「なに??」

まっすぐ顔を見つめられた。


「言い忘れてましたが、
 ポーチとどけてくれて。


 ありがとうございます。

 助かりました。」


よし。
これでお礼はきちんと言えたっ。

一仕事終わった気分。



< 25 / 305 >

この作品をシェア

pagetop