御曹司なんてお断りっ◆
「えーー?」
今、そんな奴いたっけ?
確かに、昔はいろいろ婚約者だなんだって
うるさかったが、
やめないと、俺が全力で「花京院」の会社の株を
大暴落させてやるって脅したら、
ある程度、父は大人しくなった。
それから無理強いは無いからーーーー
「多分、いないと思う。」
「ーーほら、多分なんでしょう?
私はーーー普通にサラリーマンと結婚して、
普通に旦那様に おかえり って言ってあげる生活がいいわ。
御曹司なんてーーお断り。」
ぷいっと志保を顔をそむけた。
そのしぐさも、かわいいな なんて思う。
志保に『溺れてるな』なんて痛感して、また ふっ と笑いがこみ上げる。
志保の頭をポンポンと優しく撫でながら
「じゃぁ、俺、会社辞めて
どっかに就職するわ。
花京院のグループじゃ意味から、
・・・
まずはハローワークからかな。
平社員からのスタートで、
うーん、できれば40までには部長に・・・」
「ちょっ…ちょっとっ。
なーー何言ってるんですかっ、経済雑誌にもあんなに顔を出して、
挙句にこの間も、花京院の御曹司ーーー」
「え?結構本気なんだけど?」
志保が顔を赤くしてあわてていうものだから
その可愛らしい仕草に、また笑いがこみ上げる。