御曹司なんてお断りっ◆

「だから、諦めて俺のお嫁さんになりなさい。」

そういって、志保の頭に優しくキスを落とした。


「---もぉっ。
 
 やっぱり、昴さんは身勝手なマイペースで
 私の心をかき乱しますーーー」

志保がひとり言のように呟いた。

いい意味なのか、否定なのかよくわからなくて、
志保を顔を覗き込む。


「はぁ。昴さんーー

 私、結婚とかはまだまだ考えてないんです。
 だからそのーー

 ゆっくり…私のペースで
 昴さんと向き合いたいーーーー」


まっすぐ向けられる志保の目は
やっぱり綺麗で吸い込まれそうになる錯覚に陥る。

「--うん。
 でも、俺は今すぐにでも志保をーー縛りたいよ?」

あははと笑って志保の髪をするりと撫でた。


志保もふんわりとふふ と笑った。


二人の関係が何だかゆっくりと
前に進んだ気がした。



「あ。」

「え?なぁに昴さん?」

「いやぁ…」

多分、志保怒るだろうな。

いや、絶対怒るだろうな。

そんな姿を思って、思わず笑みがこぼれる。

俺は、きょとんとまっすぐ見つめる目を見つめ返して
志保にとって衝撃の一言を告げた。


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