御曹司なんてお断りっ◆
華やかな『クリスマス』に不釣り合いな
深い紺色の羽織をつけて、
足元は下駄というか雪駄というか…
着物ーーとは違う、デザイン着物…?
それでも、真っ黒な少し伸びた髪の毛と整った顔立ちによく似合っていた。
始に対する第一印象は『不思議な人』だった。
「始兄さん!」
「----何?」
「兄さん。こちら田中志保さん。俺の大切な人。
そのうち、結婚するから。」
「--- そ。」
あわてて私は頭を下げる。
言葉少なに返事をした始兄さんは頭を下げた私の頭を
ポンっと撫でた。
「--あのっ?!」
頭を撫でられたことにビックリして思わず始兄さんをじっと見つめる。
あーー淡いグレーの瞳
「ーーー がんばれ。」
再び ポンポンと頭を撫でられる。
「始兄さん。気に入っても俺のだからな?」
「--- 了解。」
「なぁ、香澄さんは?」
「-----さぁ?」
そういって、始兄さんはそのまま奥へと進んでいった。
ーーなんだろう。
本当に・・変な人。
私は、ただただボー然とするしかなかった。