御曹司なんてお断りっ◆

***

志保は、疲れたーと言いながら柔らかいソファーに腰をおろした。


昴さんが気を使って部屋を取ってくれたけど…

「こんなに豪華な部屋じゃなくてもいいのに。」

きっと夜になればこの窓から綺麗な夜景が楽しめるだろう。
私が夜景がきれいだと言ったから
わざわざこんな部屋を取るんだろうか・・・。



「志保!--なんだ。まだ着替えて無かったのか?」

「昴さん。だって、私着替えなんて持ってないもの。」

今日は家まで市川さんが迎えに来てくれたから
そのままドレスでここに来た。

昴さんは ふふ。と笑って、
テーブルを指差した。

「ちゃんと手配してあるんだけど?」

目を向けると、
少し大きめの箱が数点。

空けると、上品なワンピースがいくつか出てきた。

「昴さん・・・」

呆れててため息が出る。

「一着でいいのに、どうしてこんなにあるの?」

「だって、その日の気分で何色がいいとか、
 このデザインがいいとかあるじゃん?
 
 だから、俺好みのをいくつか集めたんだけど?」

「・・・私は一人しかいないのに、こんなに必要ないでしょ?」

昴さんと付き合いはじめて、驚かされる。
じゃ、店ごと買うって人、本当にいるのね。って驚いたし、
いらないなら捨てればってあっさり言うし…

「もう・・・
 そういうところは苦手。」




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