御曹司なんてお断りっ◆
月曜から始まる。
***
「お前。暇なのか?」
正樹兄ぃは笑いながら
コーヒーを差し出してくれた。
「うるさいなぁ。
めちゃめちゃ忙しいよ。」
俺は、いつもの喫茶店のカウンターに
一人腰掛けながら
出されたコーヒーを受け取る。
ふわりとコーヒーの香りに包まれながら
口に含んだ。
はぁ。
マジ、ハードスケジュールだった・・・
木曜に携帯を壊されて
午後の仕事の連絡などに支障をきたして・・・
だから、その分金・土・日 休日返上で仕事を終えた。
それぐらいのトラブルで
対応できない俺が悪いんだけどさ。
そして、
再び月曜日。
ただでさえ月曜日は雑務が多い。
秘書にわがままを言って
コーヒーを飲みに
わざわざやってきたのだ。
あーー、
怒ってるだろうな。
銀のメガネをきゅっとあげて、
眉間にしわを寄せる顔が思い浮かんだ。
日曜日にも電話をしたかったのだが、
土曜日に電話したときに
志保ちゃんのうしろから
男の声がかすかに聞こえたのを聞き逃さなかった。