御曹司なんてお断りっ◆
「いらっしゃいませ」
正樹兄ぃの声で気が付いて、
入り口を見る。
志保ちゃんが
店内をのぞき込むように立っていた。
ビックリしたぁ。
なんで入ってこないんだ??
「志保ちゃん!いらっしゃいませ~~」
俺も、正樹兄ぃのようににっこり笑う。
どうした?
なんか、躊躇している。
「あの・・・・
携帯電話、ホントにごめんなさい。」
店に入って俺に近づきながら
志保ちゃんはまっすぐ俺の目を見て
誤る。
なんだ。
そのことか。
「いや。別に大丈夫だよ。
その分の仕事は週末片付けたし…」
「そうですよね。
お仕事に影響でましたよね・・・」
あ。しまった。
言葉のチョイスミス。
アレは、
結果的に志保ちゃんの名前も番号も手に入ったから
ぜんぜんオッケーなのに。
データは新しい機種にしっかり移せたし。
志保ちゃんは
悲しそうに、申し訳なさそうに
目を伏せる。
「えーと。大丈夫だよ?
気にしないで。」
「気にします。
すいません。お詫びを…」
お詫び?