御曹司なんてお断りっ◆
残された志保は昴が立ち去ったドアをぼーっと見ていた。
今から、全力で仕事って…大丈夫だろうか。
わざわざ食事の為に
張り切るって…
「変な人。」
くすっと笑いがこみ上げる。
「昴は強引だけど、やさしいから大丈夫だよ」
「は?」
ふいに、正樹が声をかける。
志保の向かいの席の
昴が飲んだコーヒーカップを
トレイに置きながら、
にっこりと意味ありげに笑う。
「志保ちゃん。
嫌だったら、嫌っていうんだよ?」
「え?
私、食事の好き嫌い
あまりありませんよ??」
「・・・・・・
志保ちゃんって、天然?」
あははは。と正樹は楽しそうに笑った。
上機嫌な正樹の後姿を志保は
不思議そうに眺めた。