御曹司なんてお断りっ◆
ディナーはいかが?
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私の勤め先は、
主に建築系のデザインを扱う会社。
現場の状況やクライアントのオーダーによって
予期しない仕事が増えたりするけど・・・
今日に限って
トラブルもなく、
順調に仕事を終えることが出来た。
・・・こんなときには仕事が無いんだよね・・・
はぁ。
机周りを整頓する時間まであるわ。
思わず書類を片付けながら
ため息が漏れる。
あーぁ。
残業が入れば、ディナー断ろうと思ってたのに・・・
5時50分。
ちらりと壁にかかった時計に目をやる。
本当に
来るのかな?
「あれ?田中さん。
今日は早いね~?」
「あ。黒田課長。お疲れ様です。」
もう帰るの?なんていいながら
にこやかに課長から声がかかる。
35歳の黒田課長は仕事が早くて
社員にも信頼されている、話しやすい上司なの。
黒々とした髪をオールバックにし、
落ち着いた雰囲気で、やさしそうな低い声は
女子社員に人気があるし。
「田中さん。もう上がりだったら、ご飯でもどう?」
「いえ。
約束があるので」
別に隠すことでもないので、
さらりと告げる。