御曹司なんてお断りっ◆
「なぁ。志保って綺麗な目をしているから
メガネとれば良いのに」
運転しながら、ちらりと志保のほうを見ながらつぶやく。
「あ。はい。じゃなくて、うん」
あっさり、
忘れてました。と言いながら
黒縁のめがねを取って
カバンにしまいこむ。
「え?」
「コレ、伊達めがねです。じゃなかった。
伊達めがねだよ。」
「え?そうなの?
めがねとったら美人だから、
コンタクト作りにいこうぜパターンも
用意してたのに?」
「なにそれ。」
志保はふふふと微笑んだ。
やっぱりめがねが無いほうが、
黒くて綺麗な瞳が良く見えて素敵だな。
なんで伊達メガネとかしてるんだろ。
「どこに向かっているんでーーー
えっと…
どこに向かってるの?」
律儀に敬語を直すあたりが、
志保って、まじめだなー。
それとも、そんなに俺からプレゼントされたくない?
「秘密っ」
そんなもやもやを晴らすかのように、
志保のつややかな唇に、
俺の左手の人差し指をそっと添えた。