御曹司なんてお断りっ◆

にっこりとほほ笑んでから、


「あ。ごめんなさい。

 ナンパじゃないよ」


俺は、ポーチをちらつかせた。


「喫茶店に、忘れてたでしょ?」


「あっ。」



彼女はさらに驚いたように
肩にかけていたカバンの中をみて、


俺の手の中のポーチを見て、


「すいません。ありがとうございます」


と、照れたように笑った。






その笑顔があまりにも綺麗で、


凛として


不覚にも見とれてしまった。





「あの?」



「ねぇっ!


 今夜、俺と食事でもしましょっ?」


今思っても、

なんのひねりもない

ナンパのセリフ。




だっせぇ。


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