御曹司なんてお断りっ◆


料理の味はどれも上手いと思う。

大学時代の友人の直人の店。
パスタやピザからオムライスやハンバーグまで、
オールマイティに出してくれる洋食屋だ。


「昴さん。とても美味しい!」

「志保が喜んでくれてうれしいよ。」




喜んでくれてよかった。

テーブルの上には、直人がお勧めする料理がいくつか並んでいる。
そんなに喜んで食べてくれるなら、
最初からココにくる予定にすりゃよかったな。


「志保が、堅苦しいディナーとか苦手って知らなかったから、
 ごめんな。」

「いえ。
 ただ、無理やり贈り物されたり、
 着せ替え人形みたいに、
 着飾られたりするのが、嫌なだけです」


きっぱりと言い切る志保にまた笑ってしまった。

面白い女。





「だから、敬語やめてって。」

「あ。」

ふふふ。と笑う。

すこし照れたようにはにかむ笑顔に
見とれる。


「…なにか?」

「んー?志保って、美人だな。
 とおもって、見とれいてただけ。」

「・・・・はぁ。
 どーも。」


照れてるのか、不快なのか、
よくわからない複雑な表情でお礼を言う。


なんだ?
< 61 / 305 >

この作品をシェア

pagetop