御曹司なんてお断りっ◆
唐突に食事に
誘われたから、一瞬意味が解らなかったようだ。
「え?」
彼女はびっくりしたように、
俺を見つめた。
そのメガネの奥の黒い瞳がまた綺麗で
吸い込まれる。
「ナンパですか?」
「そうです。
あまりにも綺麗だったので、誘いたくなりました。」
悪びれもせず、できるだけ丁寧にゆっくりと頭を下げる。
ふふふ。
と、彼女は困ったように笑った。
「ありがとう。でも、見知らぬ人とは…」
すいません。と言いながら彼女は立ち去りそうになった。
思わず、
瞬間的に、
彼女のその細い腕をつかんだ。
「俺。花京院 昴(かきょういん すばる) っていうんだ。
はじめまして。」
腕をつかまれたことにびっくりしたのか、
彼女はそのまま固まってきょとんと俺の顔を見る。