彼のネクタイの、その下に…


汗ばんだ彼から香る、煙草とコロンの混じった香り。

横目で見上げれば、目の前のワイシャツの隙間から、綺麗な鎖骨が見えて、
彼に抱かれた夜がフラッシュバックする。


・・・その鎖骨に指を這わせ、キスしたい。


そんな妄想するも、束の間。


「ん。出来た。」


ホントにすぐ訂正出来たらしく、見ていたことがバレたのではないかと、ヒヤヒヤしながら、

軽く咳払いをひとつ。


「主任、熱いからって、開けすぎですよ?」


首元から目をそらして、訂正箇所を保存していると、


「ずっと見てたくせに?」


人の疎らな社内、誰にも気付かれないように、そっと。



耳元で、熱を帯びた甘い声。




< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop