初恋は実らない
アポなしで訪ねて行くのはリスクが大きいけれど、わざわざ約束するのも気が引けて。

どうか家にいますように。

祈るような気持ちで淳ペーの家に向かう。

何度か行った事のある家。
まさか、こんな風に訪ねる事になるなんて…。

住宅街の一軒家。
門扉の前で深く息を吸う。
インターホンを鳴らせば、聞き慣れた声がした。

良かった。
帰って来てた・・・。


「松永です。突然ごめん」

「実咲? ちょ、待ってな?」


途切れた声のすぐ後で、玄関のドアが開いた。

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