初恋は実らない
広い玄関に沈黙が続く。

ど、どうしよう。
自分の気持ちは伝えたけれど・・・まさか黙られるとは思わなかった。

肯定も否定もなし?
こんなの想定外だよ。
ねぇ!何か言ってよ、淳ペー!

私、まだ言う事あるんだよ。
卒業したらロンドンに行くって、淳ペーに言わなきゃならないんだってば。

沈黙に耐え切れず、私は口を開いた。

「あのね、淳ペー。
もう一つ、大事な話があって・・・」


その時

♪~♪

インターホンの鳴る音がした。


「ごめん、実咲。誰か来た。
ちょっとここで待ってて?」

そう言って外に出て行く淳ペー。

・・・・・・。

なんてタイミング悪いんだろ。
手渡したブラウニーを持ったまま、淳ペーは外へ行っちゃったし。


広い玄関に一人。

すっごく間抜けな感じじゃん、私。

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