初恋は実らない
「コレ…返して貰いますね」

小西さんの手にあるネックレスを奪い取った。


「あるべき場所に戻れて、そのネックレスも喜んでるんじゃない?」


あるべき場所?

このネックレスは、私が持っているべきもの?
淳ペーじゃなく、私が・・・?


その後も私に向けられる言葉は嫌悪に満ちたものばかりだった。
『これでもか』って程、私を貶(おとし)める。


「とにかく・・・あたしの勝ちよ。
さっさと消えて」


どうして私はこんな人を『儚い』だなんて思ったんだろう。


淳ペーは、こんな人が好きなの?
騙されてるんじゃないの?


だけど、当の淳ペーはここにいなくて。



逃げるように改札を抜け、ホームに入って来た電車に飛び乗った。

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