初恋は実らない
深呼吸して、すっかり覚えてしまった番号を押す。


もし繋がらなかったら?

その時は諦めよう。

きっと縁が無かったんだ・・・。
そう思う事にしよう。


そう考えたのに・・・


受話器の向こうからは慌てた声。


「実咲!? なぁ、実咲なんか!?
ごめん。俺、ホンマごめん…」

掠れた声で必死に謝る淳ペー。


ねぇ。
それって、何に対する謝罪?

約束をすっぽかした事?
それとも・・・
私を裏切ってたの?


「なぁ、実咲なんやろ?
今どこや?
俺、すぐに駆け付けるから…。
頼むわ、場所教えてーや」


本当に困った声で返してくるから。
淳ペーの言い分をちゃんと聞かなくちゃ。

< 204 / 284 >

この作品をシェア

pagetop