初恋は実らない
「それで・・・君は行ったの?
実咲ちゃんに会いに、ロンドンへ」
俺の…情けない話を真剣に聞いてくれているアツシさん。
そう。
俺らは今、ホテルのロビーで向かい合うてるんや。
「はい。
音信不通になってしもうたから俺が行くしかないと思たんです。
唯一の手掛かりは、実咲から貰たエアメール。
そこに書いてあった住所に行くしか考えられへんかったから。
幸いバイト代を貯めてたんで、それで安いチケット買うて・・・」
「そう・・・」
俺の返事に感心したような呆れたようなアツシさん。
だってそうするしか他に思い付かんかったんや。
卒業までの僅かな間に行くしかない。
社会人になってしもたら海外なんて簡単には行かれへん。
行けたとしても…良くてお盆休みやろ?