初恋は実らない
お昼休み、隣のクラスを覗き見ると雅也くんの周りに人だかりが。
腕を骨折したのか、白い三角巾が痛々しい。
詳しい事情を知りたいけれど、あの人混みを掻き分けて行く勇気が出ない。

放課後になれば、部活に顔を出すだろう。
その時に訊けばいいか・・・。


午後からの2時間がまどろこしかった。


放課後、体育館に行くと、既に雅也くんの姿があった。
部員に取り囲まれて事情聴取を受けてるみたいだった。

どうやら部活に行こうと自転車で出かけたところに車と接触したらしい。

「ぶつかったんじゃないんだ。ちょっと擦られた感じ?
相手の車は全然スピードなんて出てなかったしね。
ただ、転倒した時の態勢が悪くて、骨にヒビが入ったんだ」

車と接触?
そんな近くを車が通るなんて・・・。
スピードが出てなかったから良かったようなものの、場合によっては大事になってたはずだ。

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