初恋は実らない
「雅也の携帯に入ってる住所録から女の名前を全部チェックしたらしい。
結局・・・お前しかおらへんかったみたいやけどな?

中川は、お前にライバル心持ってたんちゃう?
部活が一緒で仲良かったし・・・。ヤキモチみたいなもんやろ?」

そんな事言われても・・・。


「それよりもな・・・気になる事があるねん」


えっ!?

驚いた私の顔を見て、淳ペーは続ける。


「雅也が怪我したんは中川んとこの車が接触したんが原因やんな?
車に轢かれたとか、ぶつかったんなら分かるんやけど・・・」


淳ペーの言いたい事が分からなくて困惑してしまう。

「どういう事?」

「相手は車やで? せやのにスピードが全然出てへんかったっておかしない?
のろのろ運転やったら自転車に乗った雅也の事なんて気が付くはずやし、ブレーキかてすぐに踏むやろ? 『擦(こす)られる』ってなんやねん?普通に考えても変やん?」


そう言われれば…そうかもしれない。


「まるで雅也を狙ってたとしか思えへん。
最低限の怪我で済むように、わざと擦ったっつーか。
車と自転車の事故やで?もっと酷い、悲惨な事故になって当たり前やとお前は思わへん?」

それって・・・。
いや、でも・・・。

< 75 / 284 >

この作品をシェア

pagetop