凶悪ペンギン。
 
「あーっ! これ、アザラシじゃん!」

「アザラシ?」

「あれえ、知らないの? まだ赤ちゃんだから真っ白だねえ。フワッフワな雪のベッドかと思ったよん」

「し、知ってるに決まっ」

「きゅっ、口開けた!」

「はあ?! く、喰われる?!」



……ん? なんだ、動かねえぞ?
お、オレ様の迫力に圧倒されたのか?

ははは、さ、さすがオレ様……こんな感じで思っていて……いいんだよな?



「い」



喋った?!
モコモコが喋りやがったぞ?!

なんかヤベッ、怖っ、逃げ、いや、逃げるとかじゃなくてさっ、な?!
アレだよ、アレ!



「お、おい、なんか、アッチ行こうぜ?」

「きゅん? 別にイイじゃん、お話してみようよ」



……怖い訳じゃねえ、ぜ、ぜんっぜん怖くねえよ。
ただ、なんか、あ、アッチに行きたいだけなんだぜ、マジで。

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