BOAT
気がついて起きてみると
隣には優弥がいた。

左手が温かい。
ふと目をむけると
私の左手の上には
優弥の右手が重なっていた。




その時だった。


自分でもわかるくらい鼓動が早くなったのを感じた。






私が寝ている間にもずっとこうやって
手を握っていてくれたんだ。
ずっと私なんかの手を握っててくれたんだ。



初対面なのに
たまたま居合わせただけなのに

とても親切にしてくれて。
名前だって呼び捨てでいいとか言ってくれて。





「優弥」って呼ぶのを断ったとき
うざかっただろうな。

手を握ってる時なんて暇で
つまらなかっただろうな。







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