記憶のない少女



記憶がない・・・。


「それって・・・・」


私の問いかけに母は少し険しい表情を見せた。


「自分の名前わかるかしら・・・?」


私の名前・・・・私は・・・・。


「あ・・・天草・梛?・・・。」


そう・・・天草梛(天草梛)だ・・・。


私は・・・高校生で・・・それで・・・



えっと・・・


「よかった・・・自分のことなら思い出せそうね。」


そういって私の頭を優しくなでる・・・。


「お母さん・・・。」


するとお母さんは私の手を握ってまた
表情が険しくなる・・・。


「よく聞いて?・・・急すぎて思い出すのに時間が
かかるかもしれないけど・・・伝えるわね。」


「え・・・・。」


「梛・・・あなたに大切な人がいるの。」



大切な人・・・・・。



「あなたの彼氏さんよ。」
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