ウラもオモテも
「――とりたててお会いするような用件はありませんでしたので」


「相変わらず、冷たいな」


 私のたわいもない一言で雨に濡れた子猫みたいにしょげるなんて、本当可愛い。


「私は冷たくないですよ。

 そう。今日給湯室で部長、怖いとかリアルドエスとか言われてたんですよ。それを思い出して笑ってたんです」


 私の言葉にほっとした笑みを浮かべた。



「ほかの男のことを思って笑ってたんじゃなければ、それでいい」
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