君がくれた、夏。
「ねぇ、疾風君。」
「何?」
「妃愛乃ね、明日東京に帰るの。疾風君と遊べるの、今日で最後なんだ。」
‥‥え?
「ごめんね。もっと早く言えば良かったんだけど、寂しくなっちゃって言えなかったんだ。」
俺は目の前が真っ白になった。
妃愛乃がいつか帰ってしまうのは分かってたはずなのに、実際にその日を迎えると、こんなにも動揺してしまうものなのだろうか。
「だからね、離れてても寂しくないように、これあげる!!」
そう言われて渡されたのは向日葵を抱え、ピンクの服を着たくまのマスコット。
向日葵には『ときわぎ ひめの』と刺繍されていた。
「おそろいだよ!!」
そう言った妃愛乃の手には向日葵を抱え、ブルーの服を着たくまのマスコットがあった。
向日葵にはもちろん『きざき はやて』という刺繍。