君がくれた、夏。
それから妃愛乃が帰るまで、
俺達は毎日海で遊んでいた。
「ずっと北海道いたいなぁ~。」
「何で?」
「妃愛乃のお家東京なんだけどね、お家の周り、おっきいビルばっかりでつまんないの。海見たのも初めてなんだぁ。」
「ふ~ん。」
生まれた時から自然に囲まれて育った俺には、全く想像がつかない世界だった。
「それに‥‥、」
「??」
「北海道にいれば、ずーっと疾風君と一緒に入れるもん♪」
不意をつかれた。
この子はズルい。
何も考えずに、一瞬で俺を虜にしてしまう。