画面表示
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タッチで機能するケータイの画面には私が望む名前が表示されない。
ケータイが音を鳴らしながら振動する度確認するけどその名前は出ない。
もうメール、電話が来なくなって三週間が過ぎようとしていた。
最初は体調が悪いのかなとか忙しいのかなとか考えていたけどどうやらそうではないらしい。
元気にブログは更新していたから。
“二股、浮気、失恋” 考えたくもない単語が次々と脳裏に浮かんでは自分で沈めていた。
そのうちメール来るよね、大丈夫だよね
毎日飽きもせずケータイ画面を見つめた。
『画面表示』
ヴーヴー!ヴーヴー!
ケータイが振動した。
誰だ?こんな遅くにメールなんて…画面に出てる時計を見ると三時を回っていた。
画面に出てる名前はーーない
待ち望んでいた人だった。
このやろう…‼
もう諦めてアドレス、電話番号を消したから名前は表示されない。
だからすぐわかった。
あいつだって
ロックを解除してメールを開く。
本文はこうあった
『今は誰も好きになれないんだ。ごめん。』
それだけだった。
約一行。
あー…明日学校かー…そうかー…。
止められるはずがない
大粒の雫が声と共に頬を伝い落ちていく。
重力に逆らえずにただただボタ、ボタ、と布に落ちてしみていく。
泣きながら、震える手でケータイをタッチして文字を打ち込んでいく。
『じゃあ距離おこう。それが一番だよね』
きっともう連絡は来ないのだろう。
きっとこのやり取りが終わればもう連絡は来ない。
ヴーヴー!
『分かった。なぁお前は俺の事どう思ってる?」
『好きだよ。好きだからすぐにでも抱きしめたいし変な事考えて泣きたくなるんだよ。』
『ありがとう。絶対連絡するから。』
『好きな人出来たら連絡しないでいいからね。じゃあおやすみ』
もう見れないであろうアドレスに愛しい人の名前を打ち込んで撫でた。
何度も何度も。
メール来い、メール来いって何度も何度も濡れた手で。
でもきっと来ないんだろうな。
そうつぶやいて私はアドレスを消した。