鈴姫
冷たい声が、香蘭に突き刺さった。
こんなに冷たい声は今まで聞いたことがなかった。
珀伶の命を受けて、兵士が瞬く間に香蘭の脇を固め、縛り上げた。
香蘭は抵抗することもなく、されるままに立ちつくし、珀伶を見つめていた。
「そんな…私を、殺すのですか、お兄様」
「殺すかどうかは、わたしの決めることじゃない」
珀伶は先ほどまでの優しいまなざしは向けてはくれず、香蘭に背を向けてしまった。
道行く人々が顔色を変えて香蘭を見守っている。
香蘭は胸が締め付けられるように苦しくて、嗚咽を漏らすも、珀伶が振り返ってくれることはなかった。
香蘭の髪の鈴が、ちりん、と悲しげな音色をたてた。