鈴姫
香蘭が早口で言うのをハルは一生懸命に聞いて、了解したとばかりに何度も頷いた。
「姿が見えなくなったと思ったらそういうことだったの!皆で探し回ってたんだよ。ねえ、今どこにいるの?」
「わからない。山奥の古びた屋敷に留まっているわ」
「そう…」
ハルは少し俯いて何やら考えているようだったが、すぐに顔をあげた。
「じゃあリン、ココから出て。あたしがついていくから」
「どういうこと?」
「リンは手元にある鏡からココに入ってきたんでしょ。その鏡のところまでならあたし、行けるから、そこがどこだかわかると思うの」
「わかったわ」
香蘭はくるりと方向をもと来た方へ向け、出口を目指そうとした。
しかしその先には何もなく、ただ闇が広がっているだけだった。
考えてみれば、どうやって自分がここへ入ったかもよくわからない。
「どうしよう。どうやってでたらいいかわからないわ!」
狼狽える香蘭をハルは冷静に見つめ、小さな手で香蘭の手を握った。
「落ち着いてリン。あたしが出してあげるから、出たいと念じながら適当に歩いて」
「う、うん」